最近物忘れがひどい。
会話の節々に「えー」「えっと」「あのー」が多い。つまり口に対して頭の回転が追いついていない証拠だ。頭のCPUの処理速度が遅くなっているんだ。これはやばい。まだ30歳にもなってないのに、いわゆる「老化」の現象が始まっているのだろうか。
ただあくまで頭の引き出しから情報を引っ張り出してくるのが遅いだけであって、完全に忘れているわけではない。だから健忘症というわけではなく単なるど忘れって感じだ。だからパソコン使ってて「あのファイルどこのフォルダに入れたっけな」とか忘れてあれこれ探してしまったりすること、ちょくちょくある。もちろんAVの動画はどこに入れたか完全に記憶しているのに。
となると、当然ありとあらゆることに支障は出てくる。その中でももっとも危ないのは、「自分が何をしようとしてたのかがわからなくなること」だ。皆さんもそういう経験はないだろうか。台所に来たのはいいけど何しに台所来たんだっけ、とか、何か取り出そうとして冷蔵庫を開けたのに、次の瞬間、あれ、何を取ろうとしてたんだっけ、とか。目的の場所に行って、目的を果たそうとして、いざ!さあ!って時に瞬間的に頭が真っ白になって、自分が何をしようとしているのか、自分が何をしたいのかが飛んでしまう。そんな自分にヤキモキするんだよね。
Mystery in the toilet
こないだこんなことがあった。
トイレだ。
トイレに入ってお尻を出した瞬間、自分が何をしているのかが一瞬わからなくなるという事態が起きた。
あれ?
俺なんでお尻出してんの?え?お尻?お尻??尻??ケツを???なんで?????
なんでもへったくれもないわ。トイレでお尻を出していたとすれば、これからしようとしていることなんて知れている。もちろん俺はトイレで食事をするタイプでもなければ、トイレでブログを書くタイプでもなければ、トイレで就寝するタイプでもない。トイレで、人が、お尻を、出している。客観的に判断しても答えは一目瞭然。そう、俺はトイレで何かを排出しようとしていたに違いない。
トイレでお尻を出したまま中腰で推理をする俺。いや座れよお前。
そうだ、俺は何かを排出しにきたんだ。それは間違いない。では、「どっち」だ?
汚い話になるが、この場合の「どっち」とは須らく「大」か「小」かの「どっち」かということである。
常識に考えれば、男である俺がトイレでお尻を出しているこの姿は、どう考えても「大」に一票、はらたいらに5000点といったところだが、残念ながら俺は時折「小」でも座ってすることがある。日ごろ頑張って生きている自分へのせめてものご褒美に、俺は「小」も座ってすることを自分に対して甘んじて許可している。
ということは、「どっち」なんだ?どっちもしたい気がするし、どっちもしたくない気がする。こんなものは客観的に見たってわかるわけがない。俺の潜在意識に問いかけなければならない。さあ、どっちだ?俺が今すべきなのはどっちだ?
引き続きトイレでお尻を出したまま中腰で推理をする俺。いやだから座れって。
そうだ。ここは花占いならぬトイレットペーパー占いで決めよう。それがいい。「だい、しょう、だい、しょう・・・」って、呪われたようにつぶやきながら、トイレットペーパーの切れ目のところで切っていき、最後にトイレットペーパーがなくなったところの出目で俺は今後行く道を決定する。・・・って、いやこれじゃあダメだ。そんなことをしてしまっては、最後の結末が「大」で終わった時、俺はきっと泣いてしまうだろう。二度と立ち直れないかもしれない。その時には、もう、紙が、ない。
いや、そんなことをしなくても、もっと簡単な方法があるじゃないか。
思い返してみれば、「大」の時と「小」の時で、ふんばる部分、すなわち力を入れる部分が違うんだ。「大」の場合はあれをこうしてああするんだが、「小」の場合はあっちをそうしてこうする。だったら両方試せばいいじゃないか。それによって、俺は何のためにトイレに入ったのか、その目的の全貌が明らかになる。そうだ、そうと決まれば考える前に実行だ。それしかない!これで解決だ!見たか俺の下半身め!
さあ!「大の姿勢」!勝負!
・・・おや、出ない。ふんばれどもふんばれども、我が肛門楽にならざり。でも、そうか、これでようやくわかった。「大」ではないということは、俺はトイレに「小」をするために来たんだ。そうに違いない。なんてわかりやすいんだ。最初からこの作戦を実行していればよかった。「案ずるより産むが易し」、昔の人は本当に尊い言葉を残したものだよ。
さあ!「小の姿勢」!勝負!
・・・出ない。
え?なんで!??「大」じゃないなら「小」だろう!??どうなってんの!??なんでどっちも出ないの!???あれ????
「大」でもなく「小」でもない。はたまたそれらが混ざり合った「中」でもない。でも、俺は確かにトイレでお尻を出していた。なんでだ。なんでなんだ。謎は増していくばかり。ひょっとして、俺はお風呂にでも入ろうとしていたのか?お風呂場に行こうとして間違えてトイレに入ってしまったのか?いや、だとしたら上半身を脱いでいないのはおかしい。
それとも何か?「トイレでお尻を出した」これそのものがもう勘違いで、実は俺のお尻はすでに出ていた?俺はもともと常にお尻を出して過ごすというライフスタイルを送っていた・・・?いや、でもそれも違う。俺は血液型がO型だ。そんな生活をしていれば、お尻を蚊に狙われてもおかしくはない。だが今俺のお尻はかゆくない。じゃあなんなんだ。一体なんなんだ。やっとトイレについたら別にしたくなくなっちゃったっていうパターンのやつなのか・・・?それが一番有力だけども・・・
俺はいろんな意味ですっきりとしないまま、トイレを出た。
そう、物忘れがひどくなるとこんなことがちょくちょくある。これは何かしらの大きなミスにつながる前に対策を打たないといけない。ということで、皆さま、何かいい方法があれば、どんどんご教授ください。ただ、できれば、その、忘れにくいやつでお願いします。
俺はいくらお尻を出しても、一等賞にはなれないのだから。
【おしまい】
(お食事中の方失礼しました)