もしも倒れたボーリングのピンを立ててるのがおばあちゃんだったら

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皆さんボーリング行くよね?

友達皆でワイワイ遊ぶってなったらまあボーリング行くよね?3日に1回は行くよね?

それで勢い良くガンガン倒しちゃって、男女混合の仲間でハイタッチとかしちゃうよね?
それで仲良くなって「今夜は君のこともストライクしたいな///」とか口説くんでしょ?殺すよ??

 

まあそんな話はいいんだよ。
皆さんボーリングいったらそれはそれはもうピンをアホほど倒しちゃうでしょ。
また機械が勝手にウィーンって立ててくれるのをいいことに。

でもさ、仮に、仮によ?
仮に、倒れたピンを立て直すのが全部おばあちゃんだったらどうだって想定してごらんなさいな。

そうだよ、そうそう、大変だよ。ちっちゃいおばあちゃんだよ。
そんなおばあちゃんが頑張ってピンを直してるのさ。よいしょよいしょって。よっこらどっこいしょって。出てくるわけだよ、レーンの後ろから。

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Image from : http://ameblo.jp/shunjin21/entry-10719220232.html

 

想像できた?ね?どう思った?

あんまりたくさん倒したら・・・どうなるかわかるよね?

 

3本ぐらいならまだいいよ。まだね。
でも・・・ストライクとか出したら、一体どうなる?

10本だよ10本。10本立て直さなきゃいけないわけ。
それがどういうことかはわかるよね?
そう、あんまり褒められたもんではないよね。ちょっとは慎んだ方がいいんじゃないかな。

目上の人はいたわるもんだって、学校で習ったよね?
電車の中でお年寄りが立ってたら席を譲るのが常識でしょ?
なら、そう簡単にピンを倒しちゃいけないってわかるよね?

 

何?ダブル?ターキー?
何だか知らないけどさ。もうそこまでいっちゃうと悪魔だよ悪魔。鬼畜の所業だよ。

こらこら、そこの高校生。そんなにはしゃぐんじゃないよ。
ストライク5連続だーって?ちょっとはおばあちゃんの気持ち考えたらどうなの?えっさほいさとピンを立ててるおばあちゃんの気持ちを!

例えばさ、もしこれがガーターの連続だったらおばあちゃんはすごい楽なわけ。
ロッキンチェアーに揺られながら孫にカントリーマアムとかヴェルタースオリジナルをあげれるわけ。
そりゃそうでしょ。ピンが倒れなきゃ立て直さなくていいんだもん。

 

ストライクとかさ、もうあえて避けようよ。おばあちゃんのために。

スコアなんかはもう気にしなくていいじゃん。
数字に縛られるのはやめよ?大事なのは倫理であって道徳。おばあちゃんの体と気持ち。労わりの精神だよ。

この前スコアが200超えた?はいはいおめでとう。
おかげでおばあちゃんの寿命も200年ほど縮まっちゃうんだよ。わかってる?

「あー恐いね。恐い恐い。最近の若いのは恐いわぁ。あら、また倒しおった!倒し神じゃ!お倒し神様の祟りやでぇ!」

聞こえるでしょ?おばあちゃんの悲痛な叫びが。
俺にはおばあちゃんの気持ちが痛いほどわかるよ。

だからさ、ちょっとは手抜こう?ほら、俺らにできることをしよう?

それ以上やるとピンじゃなくておばあちゃんが倒れちゃうよ?
それ以上やるとこの世からガーターしちゃうよ?
それでいいの?

 

え?全然言ってる意味がわからない?

 

じゃあさ、じゃあさ仮に。

仮に君がストライクを出すとするよ。ストライク。
たまに調子のって出すでしょ?君みたいなタイプはだいたい3ゲームに1回は出すでしょね?

そしたらさ、おばあちゃんが大声で「ストライクー!」って叫ばなきゃいけない、と想定してみな?
おばあちゃんが「ストライクー!」って大声で。

どうよこれ?
足は肩幅に開いてお腹から声出すんだよ?ちっちゃいおばあちゃんが。
ストライク出すたびにレーンの後ろから出てきて。
スペアでも一緒なんだよ。「スペアー!」って。

見てられる?君は見てられるの?
いくらなんでも無理でしょ。すごい切ないじゃん。

だって「ストライクー!」だよ?右手思いっきり突き上げて。おばあちゃんなのにだよ?
絶対言って欲しくないよね。そんなとこ見たら俺はきっと泣いてしまうよね。

 

え?いや、ガーターはいいんだよ。
ほら、ガーターは言ったら本来のルートとは外れてるわけじゃん。だから例外だよ。それはいいんだよ。
別にそこは「ガーター!」って叫ばなくていいんだよ。俺はおばあちゃんを労る気持ちを持ってるからさ。

 

そういえばさ、さっきから俺がガーター出すたびに白い目で見るけど、だからそれは完全におかしいよね?
俺はいいことしてるんだよ。別に褒めてくれとは言わないけどさ。
そんなにも冷たい視線を送られるのは理解できないな。だって俺のおかげでどれだけ多くのおばあちゃんが救われてることか。だってほら、俺っておばあちゃんっ子だったし。ああ、おばあちゃんに幸あれ。

 

え?またストライク?

も、もうやめてーーー!!!!おばぁちゃんがーーー!!!おばぁちゃんがああああああーーー!!!

 

・・・ごめんね、ちょっと熱が入りすぎちゃった。ごめんね。

ストライクとかさ。うん、まあ気持ちはわかるけどさ。そりゃちょっとは出してみたいと思うけどさ。
そんなに狙わなくていいんだよ。おばあちゃんがかわいそうだよ。

 

まあ、なんで今日は急にこんなこと言いだしたかって言うと、
俺のボーリングの最高スコアが62だからだってことだよね。うん。

ほいほいストライクを出してしまう人たちが、うらやましくて仕方ない。
だから、みんなもっとおばあちゃんのことを考えて欲しい。それだけなんだ。

【おしまい】