ゾンビの愚痴
こんにちは、ゾンビです。
あのー、いきなりこんなん出てきて驚いたかもしれないけど、驚かせるつもりはないんでね、
ちょっと聞いていってほしいんですよ。
今日は私ことゾンビがね、ちょっと日ごろ皆さんに言いたいことというか、愚痴っぽいことをちょっと話したいなって思うんですよ。
あのー、改めまして、私、ゾンビって言います。
別名は「生ける屍」と言いまして、どっちかっていうとそっちが本名ですね。
ゾンビっていうのはまあ、芸名です、芸名。
それでまあ、私みたいなゾンビがこうやってお話しさせてもらってるってだけで、
読者の皆さんは困惑してるというか、「え、マジで・・・気持ち悪い・・・なにこいつ・・・」というような嫌悪感を持ってると思うんです。
わかります、わかりますよその気持ち。
だってどうせあれでしょ?この見た目でしょ?
見た目で「うわっ、ゾンビ気持ち悪い!」って言うでしょ?
バイオハザードなんかやったときは嬉々として我々ゾンビをもうぼっこぼこにしちゃうでしょ?
あれですよね。
人間の皆さんって、「人を見た目で判断しちゃいけない」って正論ぶっこきながら、
我々ゾンビのことは見た目でもう気持ち悪いって決めつけてますからね。
だってわかるんですよ。
もう普段から私を見る目が、汚物を見るような目そのものなんですよね。
「この世のものとして生理的に受け付けてない」感がするんですよ、皆さんの視線は。
まあ、私はどっちかっていうとMなので、ちょうど都合がいいんですけどね、そういう冷ややかな目線。嫌いじゃないです。
でもね、この汚らしい外見、これ私のせいじゃないですからね。
どっちかっていうと私も被害者なんですよ。これ、本当に。
ゾンビっていうのは顔面や皮膚がただれてて、目も充血してて、全身血だらけで、腐った臭いがする・・・
こういう「ゾンビとしてあるべき姿」を押し付けてるだけなんですよね。
ゾンビといえばこうだ!みたいな。
ちょうどあれですね。
サンタクロースが赤い服を着て白いひげを生やしてトナカイのひくソリにのってる・・・
ああいうイメージですよイメージ。
そういう汚らしいイメージを、人間の人たちは我々ゾンビに植え付けてるんですよね。
ああ怖い怖い。
人間が作ったイメージを押し付けてるくせに、そのくせ「ゾンビって汚い、怖い、醜い、気持ち悪い」って罵詈雑言を並べ立てるんです。
いくら私がMっ気があるっていっても限度がありますよ?
それにね、ぶっちゃけけっこう泣いてますからね。
皆さんが「うわぁーゾンビだぁーー」って怯えてるの見て。
我々ゾンビは人間たちを怖がらせるつもりもなくて、ただ人間界に未練があって戻ってきてるだけなのに、
あなたたちはこぞって我々を怖がり、威嚇し、攻撃してくるんです。
もう涙出ますよ。ちょちょぎれますよ。
やっぱり映画の影響とかあると思うんですよねー。
だってゾンビを登場させる映画ってめちゃくちゃ多いじゃないですか。
で、必ず「悪」として描くじゃないですか。
もうほんと、濡れ衣なんですよね。
いいですか?ゾンビは決して悪い存在じゃないんですよ。
さっきも言いましたけど、ゾンビはちょっと未練があって人間界に姿を現してるんですよ。
「生ける屍」なんだから、もともと人間なわけですよ。あなたと同じなんですよ。
もうちょっと暖かく接してもいいと思いません?
それにね、未練って言っても何も人間を殺そうとか呪おうとか物騒なもんじゃないんですよ。
せいぜい、
好きな女の子に告白してなかったとか、
家のガスの元栓閉めるの忘れてたとか、
TSUTAYAで借りたDVD返すの忘れてたとか、
そういうものなんです。その程度のことなんですよ。
それなのにあなたたち人間は我々を勝手に悪だときめつけ、人間の敵のように仕立て上げ、
ナイフだの銃だのロケットランチャーだの、禍々しい重火器で我々を痛めつける。
本当にいい加減にしてほしいですよね。
でもまあ、最近になって、ゾンビの復権っていうか、
ゾンビとしての価値が向上してきたように思いますよ。
あのー、私もよくテレビ見るんですけどね、
最近「デスノート」ってやつ流行ってるでしょ?デスノート。
あのノートに人の名前を書くやつ。
あれでね、死神っていうのが出てくるんですよ。
知ってます?死神。
ああやって、人間界に存在しないもの、「人智を超越した生き物」を登場させて神格化させることによって、
人間の理解を超えたものへの憧れ・尊敬の念を高めることができるんじゃないか、そう踏んでるんですよ。
死神だけじゃないですよ。
古くから、妖精とか龍とか悪魔とか、実在しないものを題材に漫画・アニメ・映画を作るのが人間の手法じゃないですか。
最近だって、ツイッター?とやらで、人間ではない生き物が大きな注目を集めたって聞いていますよ。
そう、つまりあなたたち人間は、もう「人間しかいない世界」なんて考えられないんだ。
我々のような人外の生き物が今本当に求められている、私はそう確信していますよ。
だから、近い将来、我々ゾンビだって人間たちからの支持をより集めて、
各種メディアに進出したいって思ってますね。
我々の力があれば、劇場版「進撃の巨人」だってCGを使わなくても本人出演できるし、
何よりそこまで酷評されなかったかもしれない。
目に浮かびますよ、近いうちに、各メディアのディレクターやプロデューサーが我々ゾンビの元に菓子折りもって挨拶しに来る姿がね・・・
・・・おっと、失礼、長々と話し込んでしまいました。
実はこの後、ヒルナンデスの収録があるんです。
「現役ゾンビが選ぶ、この夏おすすめのお化け屋敷」って企画だそうです。
早く行かないと、プロデューサーさんに
「早く来いよ!お前どこ腐乱腐乱してんだよ!」って怒られちゃいますからね。
それでは皆さん、
またそのうちどこかでお会いしましょう。
本かもしれないしテレビかもしれないし、
劇場のスクリーンかもしれないし、
あるいは、今
ア ナ タ ノ ウ シ ロ ニ
・・・
なんちゃってねっ☆ それでは、また!
【おしまい】
編集後記
この記事は、「ゾンビ記事を書こう!」というしむさん(@46sym)の企画に乗っかりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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